給与明細の電子化に同意書が必要?!電子化のメリットとデメリットを紹介!

給与明細の電子化まだ迷っている方必見!今回の記事では給与明細の電子化におけるメリット・デメリットを紹介します。法的にはどうなの?これから電子化する際の注意点は?確定申告はどうなるの?などさまざまな疑問を徹底解消!

1020f5e1590b86c8091d8aaf0ece521e_m.png

給与明細電子化は法的にどうなの?


 結論からいうと法的にはOKです。以下に給与明細に関わる法律をまとめました。

  • ○労働基準法【108条】
    • →賃金台帳を整備する義務。(給与明細交付の記載なし)
  • ○健康保険法、厚生年金保険法、労働保険徴収法
    • →保険料控除の計算書を通知する義務。(「紙」の記載なし)
  • ○所得税法【226条(4)、231条(2)】
    • →給与の支払いの明細書を交付する義務。(「紙」の記載なし)
  • ※従業員から請求された場合は、書面(紙)で交付する義務。

つまり、従業員が電子化に同意していることが前提になります。電子化に移行したとしても過半数の従業員が紙の給与明細を望めば、必ず紙で交付しなければならないので意味がありません。紙から電子化へ移行する際は事前に多くの従業員が納得しており、給与明細を印刷できる環境が必須であるといえます。


給与明細電子化をするために企業が対応すべき4つのポイント

◆従業員からの同意書を取得する必要がある

 冒頭でも書きましたが、法律上、従業員から紙での給与明細を請求された場合に必ず応じなければなりません。従業員の同意(希望)がなければ電子化の恩恵を受けることができないのです。そこで、トラブルを未然に防ぐために同意書を取得する必要があるといえます。同意書だけでなく、従業員にペーパーレスのメリットを周知することや電子化について会社内で話し合うことも必要ではないでしょうか。

◆アクセス方法の確保・社員への情報提供

 電子化移行の前提として、従業員ひとりひとりのネット環境が挙げられます。現在、スマートフォンやパソコンを利用していないという人は少数派ですが、会社としてはネット環境のない従業員へ個別対応を考えなければなりません。ネット環境があったとしても、Web上の操作が不慣れな従業員や紙の給与明細が良いという従業員も存在しうえます。Web給与明細のマニュアルや社内対応。そして、紙での交付を希望する従業員のために、印刷できる環境を整えておく必要があるでしょう。

◆セキュリティの確保

 もっとも注意すべき点はセキュリティ面ではないでしょうか。近年、急速なIT社会への変化と伴い、情報漏えいやデータの改ざんのニュースを多く耳にするようになりました。給与明細も大切な個人情報です。第三者へ給与の情報が漏れたり、金額を意図的に改ざんされたりすることは決してあってはなりません。ウイルス対策、不正侵入の対策、社内での管理ルール、バックアップ等々さまざまなセキュリティ対策が必要になります。従業員が社外でも自由に閲覧できる場合は、ひとりひとりのセキュリティ意識や注意事項の呼びかけも要するでしょう。

◆給与計算・会計システムとの連携

 既存の給与計算・会計システムとの兼ね合いも重要になります。ほとんどの会社の場合、他社開発のWeb給与明細システムを導入(購入)することになります。現在の給与計算に対応しているか、運用中の会計システムとの互換性はあるかなどの問題があります。つまり、自社にあったWeb給与明細システムを選定しなければなりません。どのシステムが適切であるかは会社によって変わるので一概にはいえませんが、給与明細を印刷できること、従業員が使いやすい・見やすいこと、システム導入によってコストが下がることは必須条件といえます。

給与明細の電子化のメリット

◆従業員側のメリット

 給与明細を電子化すれば、紛失のリスクが低減します。毎月送られてくるたびに郵便物の中から探したり、明細書を整理したりする必要もありません。また、家に届いた封筒を他人に勝手に見られることもなく、個人のIDとパスワードを入力してログインをするので、プライバシー保護の向上にもつながるでしょう。さらに、電子データならば過去の明細を確認することも容易いですし、スマートフォンひとつあれば、いついかなる場所でも好きな時間に見ることができます。

◆再発行のリスク低減

 従業員側のメリットでも挙げましたが、Web上で管理すれば、交付された従業員の粗相で紛失することは無いに等しいです。紙媒体ならば明細をなくしてしまったり、配達ミスで届かなかったりする場合があります。また、届け先によって明細が到着する日程も変動してしまいます。従業員からの再発行の要望や正しい宛先に送付されたかの確認を受けなくてもよくなります。紙媒体なら起こりうえた「再発行のリスク(コスト)」を心配しなくてもよいのです。

◆印刷/紙コスト・人件費の削減

5f06bdae6df47e4ac2eddd16ea2078fb_s.jpg  従来の紙の給与明細ですと、用紙代はもちろんインク代、封筒代、発送するための切手代がかかります。また、紙媒体を管理するためには電子データよりも人の手を要します。計算(自動計算ソフトの場合は除く)→印刷→封入→投函の一連はすべて人が行っており、電子化することによって解消されます。実体がある分、管理・作業スペースも要しますし、人件費が浮くと同時にヒューマンエラーの低減にもつながるでしょう。

◆業務効率のアップ

 紙文書の電子化は、業務全体のスピードにも効用をもたらします。人件費削減の項目でも話しましたが、印刷から投函までの作業はカットされ、給与明細計算から従業員に交付されるまでの時間が大幅に短縮されます。給与明細の確認作業・廃棄作業もデータ化すれば紙よりも作業時間は短くなるでしょう。また、給与明細にとどまらず、人事データや給与計算、源泉徴収票等も電子化し、同様のシステムで管理できるようにすれば、給与業務全体の一元化が望めます。さらに、ネットバンキングを利用すれば振込業務まで行うことができ、飛躍的に業務効率が向上すると考えられます。


給与明細の電子化のデメリット

◆従業員次第

 会社で給与明細を電子化したとして、従業員が望んでいないとメリットを最大限に受けることができません。従業員が紙での交付を求めれば、必ず応じなければなりませんし、毎月Web給与明細を従業員個人が印刷していれば、印刷/紙のコスト削減にはつながりません。つまり、従業員個人の考えに依存してしまうのです。「従業員ひとりひとりが給与明細の電子化のメリットを理解すること」、「従業員全体が使いやすい・見やすいWeb給与明細システムを導入すること」などが重要となってくるでしょう。

◆書面と電子情報の混在

 給与明細を電子化するうえで、「どこまで電子化するか」が課題になるでしょう。Web給与明細システムを導入するには、まず会計システムの導入も考えなければなりません。給与業務の一連を電子化することで、業務の効率の向上を望めますが、どの書類を電子化し、どの書類を紙媒体で扱うのかを、細かく取り決めなければなりません。年々電磁的記録の要件は緩くなっていますが、電子保存が認められない書類や保存の仕方などを今一度確認しなければならないでしょう。

◆情報漏えい・データ改ざんの危険性

 紙からWeb上へ移行するにあたって、情報セキュリティ対策に力をいれなければなりません。紙媒体のときも誰かが持ち出したり、送付・配達ミスが生じたりした場合、情報漏えいの危険性がありました。しかし、電子化しWebに公開するとなると、被害の規模は格段に広がるといえます。一度、不特定多数がアクセスできるネット上に、データを漏えいしてしまったら永久に消えることはないのです。また、データの改ざんも懸念しなければなりません。電子データの改ざんは紙よりも容易といえます。担当者が入力業務時に改ざんしたり、第三者が不正アクセスをして改ざんしたりなど人物や手法もさまざまです。これらのリスクを低減するため、大切なファイルにはパスワードや電子署名を付すことが有効だと考えられます。


電子化に同意したくない従業員はどうすれば良いの?


 所得税法により紙で交付してほしい場合は、会社へ請求することができます。Web請求明細を導入したとしても、自分で印刷する方法もあります。しかし、ペーパーレス化の動きをみせている社会では、今後もあらゆるものが電子化になると予想されます。業務の一元化を目指すためにも電子化への理解は大切だといえるでしょう。


電子化された源泉徴収票を自分で印刷し確定申告を提出して良い?

◆自分で印刷したものは確定申告に利用できない

 国税庁によると"電子交付を受けた各源泉徴収票を印刷して確定申告書に添付することはできません。"(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/denshikofu-qa/answer.htm)としています。交付者(会社側)から交付を受けた書面でなければなりません。ネット上では、提出できる・できないの双方の情報が流れていますが、法律上は認められません。憶測ですが提出できたという情報は嘘ではなく、会社が交付した紙か自分で印刷した紙かの判断がつかなかったのだと予想されます。

◆電子交付された源泉徴収票で電子申告(e-Tax)は可能

 一定のデータの形式を満たし、電子署名を付与してある電子交付された源泉徴収票であれば、e-Taxで電子申告をすることが可能です。e-Tax(http://www.e-tax.nta.go.jp/)とは、申告など国税に関する各種手続きについてインターネットを利用して電子的に手続きが行えるシステムです。e-Taxで確定申告を行う場合においては、電子交付された源泉徴収票を資料として提出できるということになります。


まとめ


☆ペーパーレス化社会!給与明細を電子化することでコスト削減・業務効率アップが期待できる。
☆給与明細の電子化には従業員の同意と理解が必要不可欠!
☆自社システム・社員に合った給与明細システムの選定する!
☆移行の際はセキュリティ対策の再確認を!
☆電子交付された源泉徴収票を自分で印刷して確定申告はNG!
☆電子申告(e-Tax)であれば電子交付された源泉徴収票の提出OK!

PAGE TOP

クラウド給与明細スマホアプリのダウンロード

スマホクラウド給与明細
Google Play で手に入れよう

運営会社

株式会社エッサム 集い事務局

東京都千代田区神田須田町1丁目26番3号

Copyright © 2014 - ESSAM CO., LTD.All Rights Reserved.